市民セミナー報告書より
梅雨の晴れ間で定員一杯の盛況
この日は梅雨時に珍しい好天に恵まれ、記念碑台と自然保護センターを訪ねてくる人が多かった。「六甲山の森づくり」という格好のテーマや講師の高橋さんに惹かれてか、市民セミナーへの参加者も32名となり、定員の30名を越えた。準備した資料が不足したり、当日の参加申し込みを受け入れられなかったり、予想以上の盛況に戸惑った。募集定員を増やすことを考慮する弾みを与えていただいた。
森づくりにかける高橋さんの情熱
神戸市に採用後、公園緑地部緑地課自然公園係(今の森林整備事務所)に配属されて六甲山を歩き回った青年時代、そして今、同事務所の所長として100年の歴史を踏まえて六甲山のこれからの100年を構想されている。高橋さんにとっては六甲山の森づくりはまさにライフワークだ。一貫して大好きな六甲山に関わってこられたのは幸せなことでもあり、そこに打ち込まれる深い情熱には感動を覚える。
六甲山の森づくりの課題を知った
六甲山の100年におよぶ植林、治山の歴史を紹介していただいた。戦国時代の禿山、明治中期の居留外国人の開発、「森林美学」を踏まえた植林の開始、昭和13年の大水害後の砂防、戦後の大規模植林など、六甲山が緑に包まれるようになった経緯を見渡すことができた。禿山に人の手で緑を回復した世界的にも誇れる植林活動。
これからは「(優良な森林を育てるために)木を伐って伐って伐りまくる」ことも含めて、楽しめる、そしてより豊かな六甲山の森をつくる課題に直面している。
専門家揃いで論議が賑わった
国土交通省六甲砂防事務所長の星野さん、神戸県民局県土整備部の釜谷さんなど行政の専門家。県立人と自然の博物館の鈴木さん、兵庫生物学会会長の白岩さん、兵庫県の生活創造センター所長の西川さんなど研究者や教育関係者が参加された。ブナを植える会やひょうご森の倶楽部、自然観察指導員の常連の方々。間伐材の活用や自然環境の保全に見識をお持ちの方など、多彩な顔ぶれであった。講師とのやりとり、参加者同士へと活発に論議が交わされた。