参加申し込み

市民セミナー報告書より

6年ぶりにハート池と再会!

午前中の環境整備ボランティアは8名がガイドハウスに集合して、近畿自然歩道と二つ池環境学習林の樹木の新芽などの観察をしました。天候は晴れ、気温は0℃で日陰には積雪が残っていました。二つ池の下池でハート形の溶氷を発見!2005年2月19日にハート池を発見し、6年ぶりの奇縁に感激しました。

宇杉さんに六甲山事情をたずねた

ガイドハウスの管理人の宇杉さんには、市民セミナーの講師候補を紹介していただき、冬場の環境整備活動の集合場所としてもお世話になっています。

兵庫県が六甲山の活性化策として、記念碑台周辺の施設や環境整備に注力されています。県立自然保護センターのリニューアルに引き続いて六甲山ガイドハウスを設立したのは、かつて「六甲山銀座」と呼ばれて賑わった地域の再生を願った試みでした。

最近は記念碑台に様々な人が訪れ、上山者が変化しているように感じます。六甲山上の過疎化を代表した企業保養施設の動向も気になります。六甲山上で毎日来訪者に接しておられる事情通の宇杉さんから、5年間の変化を聞いてみたいと考えて講師をお願いしました。

記念碑台の立ち寄り客は増えにくい

市民セミナーの参加申込みが少なかったのですが、当日は20名が神戸市立地域福祉センターに集いました。冬場では活況といえる人数で、地域で活動している人もいました。

宇杉さんの自己紹介の後、講師と参加者が一緒になって、テーマについて情報提供や意見交換を行い、フランクな懇談にしようと確認しました。ガイドハウスでの仕事は訪問客に応対するのが主であり、参加者から具体的な情報やデータを求められて戸惑いつつ、ガイドハウスの来訪客が減少している状況を話されました。

参加者からも見聞した

事実が紹介されました。観光客は微増しているが、記念碑台への立ち寄り客は増加していない現状を確認しました。宇杉さん同様に、参加者全員が記念碑台の施設運営の向上を切実だと考えました。

地域の活用に抜本策が求められる

ガイドハウスは六甲山の総合的な案内ができる得がたい施設です。①関係者の相互連携、②広く魅力を伝える努力、③新たな情報発信などを踏まえた現状打開が必要になっていると思いました。

講演内容

講演の挨拶(宇杉 禎夫さん)

六甲山の表や裏を拠点に生活し、六甲山の保養所設備やリフトの工事を仕事にしていました。縁あって六甲山ガイドハウスの管理人として6年仕事しています。色々な人との交流が財産で、今日はそのお話をします。

1.環境を考えた六甲山ガイドハウス

■寂れていた記念碑台をリニューアル

昔、ここに3階建てのぼろぼろのビルがあった。県が家主さんに話をし、土地を寄付してくれた。記念碑台上の自然保護センターも正面下に倉庫用の建物があり快適ではなかった。県が力を入れて平成17年、自然保護センターのリニューアルと同時に六甲山の情報発信拠点として、分館のガイドハウスができた。

■エコハウスの建設

このログハウスは「束ね工法」といって、兵庫県の間伐材(杉、桧)を束ねて圧着した角材を木くぎで継いでいる。播州大工の建て方で播州御輿の流れを受けている。また、建物周囲に塩ビパイプを張り巡らせ、その穴の周囲に木炭粒子が詰めてある。雨水や生活廃水をその木炭で浄化して、階段下の3つの浄化槽で最終浄化して一般排水に流す。これがエコの由縁だ。

■盛大だったオープニングセレモニー

平成17年4月、六甲山小学校の子供たち、県議会議長、グルーム関係者、発起人が集まって盛大にセレモニーをやった。ガイドハウスの前にシチダンカを植樹した。この時は大勢集まった。

■ガイドハウスの役割

六甲山情報発信センター:六甲山にお客さんを増やすのが目的だ。ここで自然保護センターに上がってもらうように案内する。六甲山の山道、歴史、自然の色々な情報発信ためPCを設置した。ボランティアガイドが常駐:ボランティアガイドに詰めてもらい、お客さんに自然案内をしてもらう。総勢約60名、男女比率1:1で、管理人はガイドさんの拠点の管理、お世話をしている。

2.六甲上山者の移り変わり(懇談)

■記念碑台来訪者は変わらない

オープニング以後は年1回グルーム祭しかイベントがないので記念碑台への来訪者数はあまり変らない。バスの値上げのせいかお年寄りの来訪者が減ったように思う。インド、韓国、中国等の外国人を見かけるが実態は把握できていない。

☆(参加者)馴染みで持っている居酒屋みたいだ!
ガイドハウスは、馴染みで持っている居酒屋に一人で入ったみたいで一見客は入りにくい。一見客を増やし六甲山ファンに育てるのが大切と思う。(最初に強烈な発言があり一気に白熱した)

☆中が見るにくく何があるのか良く分からない
場所が歩道から奥まったところにあり、ドアが引戸で開けにくい。ガラス張りだが中が見えにくい構造は入りにくさにつながるのではないか。 ☆記念碑台を通過する客が多いのでは・・・バスやケーブルカーではファミリー客もよく見る。たくさんの韓国人の親子づれにも出会ったが、記念碑台を通過してガーデンテラスに行く人が多く、残念に思った。ウォーキング大会でもここには寄らず、直接ガーデンテラスに行く。

☆5月連休、夏休み、紅葉シーズンは活況だ
六甲山は都市の至近にありながら夏の涼しさが売りで、ヒートアイランド現象を避けて山に登ってくる。秋も紅葉を求めて登る人が多い。通期で記念碑台への客は変化するが、ガイドハウスに入る人は変らない。

■来訪者の変化をつかみかねている

阪神阪急でイベントを実施しているので観光客は多く、六甲山ホテルも人は多い。観光客、アベック、ファミリーなどが増え、来訪者の様相が変わってきたように思う。ガイドハウスでは十分察知できていない。
入りにくいのは承知している。そのせいか、ガイドを求める人が減った。それでも、自然案内を依頼するお客さんは冬場1日3~6名、夏は10~20名以上ある。

3.最近の六甲山事情と今後の期待(懇談)

オフシーズンならではのよさを活かす

梅雨時は来訪者が少ないが、自然案内人からいえば、6月の雨の日のアジサイは最高だ。冬季でも園地にはお客さんがいる。2月11日は大雪だったが35名くらい来た。高校山岳部17名がガイドハウスにきたが、5分もいなかった。もっとくつろげる場所であればと思った。六甲山はオフシーズンでもよさがあり、売りの一つだ。ガイドハウスに一度入ればリピーターに繋がるように努力したい。

観光案内も重要だ

ガイドハウスに来る人は山歩き半分、車で来て道を訊きたい人半分。夏場は40~80
人、冬でも30~40人くらい。自然案内に加え、観光案内の役割が大きい。登山者、観光客、外国人も含めた案内がガイドハウスの役目だ。

ガイドハウスは存在感を発揮してほしい

六甲山にはしょっちゅう行くが、ガイドハウスに気がつかなかった。ロケーションを活かし存在感を発揮してほしい。

現場から知恵を出して連携する

行政や阪急阪神、ボランティアなど関連団体がバラバラで六甲山の活性化をやっている。ガイドハウスでも他の団体のイベントも含めた情報発信はできていなかった。その中で企業も行政もボランティアも現場は一所懸命だ。現場の人間の智恵をつなげて、都市山六甲山の魅力を発信しよう。

講演の感想(宇杉さん)

一見さんがガイドハウスに入りにくいことについて、どうしたら来ていただけるかを考えます。
六甲山の歴史の館を作るのも一つの手と思います。ガイドハウスに関心ある人が多いのには勇気づけられました。今後ともよろしくお願いします。

事務局から

今回は20人の参加者があり、活発な情報・意見交換ができた。六甲山・記念碑台に関心を持ち、心配してくれる人が多く、六甲山での活動に意識を新たにした。後日、神戸市の観光入込客数(六甲・摩耶)を調べたら、年間約500万人で微増していた。記念碑台は通過する人が多く、ガイドハウスの集客は重要だと痛感した。